ゴスペルって?

このページでは、ゴスペルの魅力を知っていただくために、「ゴスペルとは何か」を簡潔にまとめてみました。
主宰者ナナによるゴスペル・コラム、どうぞお楽しみ下さい♪

ゴスペルってこんな音楽!

「英語の歌」「楽しそうな音楽」「魂の歌」ゴスペルについて言われるこのようなイメージはどれも正解。それではもう少し詳しくゴスペル音楽についてご紹介しましょう。

ゴスペルはアメリカの黒人教会で歌われている歌

私たちが「ゴスペル」と呼んでいる音楽は、もう少し正確に言うと「ブラック・ゴスペル・ミュージック」、アメリカの黒人の人たちが集う教会で歌われています。

教会という場所は、多くの日本人にはあまり馴染みがないかもしれませんが、アメリカの黒人の人たちにとっては第二の家のような場所。アメリカという国は、少し前まで人種差別が法律で認められ、黒人というだけで人間として扱われなかった時代がありました。現在でも、経済的・社会的に厳しい生活をしている黒人の人たちがたくさんいます。そんな中で教会という場所は彼らにとって、同じ地域に住む同じような境遇の人たちが集まり、お互いに仲間として励まし合ったり祈り合ったりできる「心の家」です。

ひとたび人が集まると、すぐにゴスペル(=歌)が始まるのが彼ら流。ゴスペルは、人を力づけ、人々の心をひとつに結びつけ、疲れた心に希望を持たせ、暗く厳しい人生に光をあててくれるようなパワーを持った音楽として、アメリカ中で歌い継がれてきました。

ゴスペルは決して上手い・下手を競い合うような音楽ではなく、また音楽的才能のある一部のプロのための音楽でもなく、一般庶民が日常の中で歌ってきた大衆音楽であるといえます。

手拍子、足拍子、身体全体で歌うから楽しい

教会音楽といえば厳かな「賛美歌」を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、黒人音楽であるゴスペルは、いわゆる賛美歌のイメージとは全く違います。誰か一人がマイクを持って歌いだすと、バンドがそれに合わせて演奏をはじめ、会場全体が総立ちになり、手を叩いたりステップを踏んだりしながら声を張り上げて全身全霊で歌います。

誰も楽譜なんて持っていません。ゴスペルに楽譜は存在しないからです。繰り返し繰り返し歌っているうちに皆が覚えます(日本で言えば「盆踊り」のよう!?)。地域や歌う人によって多少メロディーや歌詞が変わることも珍しくありません。皆が歌っている中で、アドリブで自由にソロを歌う人や、パッとその場でハモりをつける人もいます。「この音・この表現・この解釈が正解」という決まりはなく、歌う人が思いのままに自由に表現できる音楽、それがゴスペルです。

合唱経験者がゴスペルを体験すると、「好きなだけ声を張り上げていい」「自由に身体を動かしていい」という自由さにはじめは戸惑う人がたくさんいます。でも、それこそがゴスペルの楽しいところ!慣れるにつれ多くの日本人がハマってしまうゴスペルの醍醐味です。

ゴスペルは人生の応援歌

「ゴスペル」という言葉は、「神様の言葉(God Spell)」または「グッドニュース」という意味であると伝えられています。聖書に基づいた歌詞には、前向きで、神聖で、愛のあるメッセージが詰まっています。

「あなたは神様から愛されて生まれてきた」「私の道は神様に見守られている」「試練は神様が私を強くするために与えてくださったレッスン」こんなメッセージを美しい音楽にのせて歌うと、ときには自然と涙が溢れることも。ゴスペルを歌っている多くの人が、ゴスペルを通じて日々の生活に感謝の念を持てるようになったり、沈んでいた気持ちが明るくなったり、という体験をしています。

アメリカではゴスペルは通常のヒットチャートに登場するほど人気のあるジャンルで、音楽を聴いただけでは売れ筋のHip HopやR&Bと全く違いがわからないこともあります。(ちなみに白人の教会音楽は別名称があり、こちらも最新のロック/ポップス・スタイルのものがどんどん登場しています。)何がゴスペルとそうでない音楽との違いなのかというと、「歌詞」に尽きます。それくらい、ゴスペルにとって歌詞は重要な要素なのです。

聖書という書物は、教会の中だけに限定されずビジネスマンや政治家や学生や様々な人に読まれている「史上最大のベストセラー」として知られていますが、その聖書のメッセージをベースとしたゴスペル音楽もまさに、教会やキリスト教という枠を超えて、今や「人生の応援歌」として多くの人に親しまれるようになってきています。

日本人の音楽観との意外な共通点!?

日本でなぜこれだけゴスペルが受け入れられ広まっているのか、そこには日本音楽との意外な共通点が!?

「大勢で歌う」は日本人も大得意

カラオケ輸出大国である日本人が「歌好き」な民族であることは、疑いようのない事実。今でこそ、普通の人が歌える機会=カラオケボックスですが、ではその前の時代にはどこに歌があったのでしょう?実は日本は世界的に見ても、民謡や作業歌が豊富な国として知られています。お祭りなどでの祝い歌もありますね。子どものための遊び歌もたくさんあります。一昔前まで、私たちは機会を見つけては皆で歌っていたのです。

いつの間にか生活スタイルが変わり、大声で歌える場所はカラオケボックスに限定されてしまっているような現代社会。カラオケは、ざっくり言えばプロの歌を真似して歌ってお互いに聴かせ合うもの。それも楽しいですが、ゴスペルのように「大勢で声を合わせて歌う」という楽しさはまた格別です。ゴスペルは、時代の変化の中で私たちが忘れつつあるもうひとつの歌の楽しみ方を、教えてくれているのかもしれません!?

楽譜を使わず、師匠から弟子へ以心伝心の口承伝統

楽譜は、音楽の基礎として学校の授業でも学ぶものですが、実は日本の伝統音楽に楽譜はありません。私たちは学校で、音楽は「ドレミファソラシド」からできていること、良い音とは(楽器でも声でも)粗のない安定したキレイな音、と教えられます。しかしこれはクラシック音楽と呼ばれる西洋音楽の理論の話、世界中にはそれにあてはまらない音楽が山ほどあります。日本音楽もそのひとつ。

例えば尺八のように、「風」の音を表現するためにわざと雑音を混ぜたり、三味線のように撥(バチ)をぶつける音を故意に聴かせたりすることは世界の他の地域でもよく見られます。また長唄のように、語りの延長のような歌なのでドレミには当てはめられず、リズムも一定でない、という例は日本音楽にたくさんあります。このような“味付け”は、楽譜では表現できないことですよね。

ドレミや記号で理論化して楽譜で表記するというのが非常に難しく、あえてそれをしてこなかった日本音楽。それではどうやって伝えているのかというと、師匠が弟子を取り、目の前で手本を見せて伝えていくというのが日本のやり方。これはゴスペルととても似ているところがありますね。“まずは自分で楽譜を読んで歌を覚える”ではなく、前に立つリーダーが歌う歌を聴いて、真似をしながら覚える。その繰り返しの中で歌が自分のものになっていきます。

「楽譜がわからないから」といって音楽を習うことを敬遠する人がいますが、決してそんな必要はありません。そういえばカラオケだって、楽譜で歌を覚えてくる人はいないですよね?「音は耳から。」これは実はほとんどの日本人が自然にできていることなのです。

「言葉」の持つ力を信じる日本人と黒人

日本音楽の特徴のひとつとして、日本は世界的にも珍しく「器楽」(楽器だけの音楽)が非常に少ないと言われています。日本発祥の楽器はない、という説もあるほど日本では音楽といえば「歌」が主体です。その理由のひとつとして、古くから日本にある「言霊(ことだま)信仰」が指摘されています。

「言霊信仰」とは、声に出した言葉には実際にその通りになる不思議な力(=言霊)が宿る、という考えです(そこから「おまじない」や「忌み言葉」などが生まれています)。言葉の力を重要視するからこそ、音楽は言葉を表現するためのものとして使われてきた、ということです。

同じことが実はゴスペルにもあてはまります。ゴスペルはその歌詞があってこそゴスペルと呼ばれるので、楽器のみのゴスペルは基本的にありません。歌うことによって歌詞の言葉を表現するのがゴスペルです。そして、同じフレーズを何度も繰り返すというゴスペル独特のスタイルは、黒人文化の中に日本の「言霊信仰」と全く同じ意味を持つ「Nommo」という信仰があるからともいえます。前向きなメッセージを、実際に口に出して何度も何度も歌うと、歌い終えた頃には何かが変わっている・・・。黒人の人たちが見出してきたゴスペルのこんな不思議な力を私たちが共有できるのは、黒人文化と日本文化の中に共通してある、「言葉の力を信じる心」があるからではないでしょうか。

日本でも、歌の起源は「スピリチュアル」な歌

最後のこの項目は決して日本に限った話ではありませんが、音楽の発祥の起源をたどると、世界中の民族の多くの場合、それはその土地の「神」をまつるスピリチュアルな歌です。日本も例外ではありません。神様を称え、神様に祈りを捧げるために歌ったり踊ったり・・・という行為は、日本でも世界のほかの国々でも人間の歴史のはじめからあるごく自然な習慣です。

「日本人は無宗教」というけれど、それは「○○教」として何かの経典に精通していたり定期的に決まった集会に参加したりしている人が少ないというだけで、日本人も元来とても信仰深い民族ではないかと思います。自然を尊び、祖先を尊び、命を尊び、自分を超える超自然的な力を信じ、まつってきた風習があります。

現代の日本人は「宗教」に非常に敏感で少しでも宗教のニオイのするものを毛嫌いする人も多いですね。そうかと思えば、スピリチュアルな自己啓発本や占い本がベストセラーになったりします。何かスピリチュアルなものを心のどこかで求めていながら、一方で抵抗も感じてしまう、そんな人も多いのかもしれません。 スピリチュアルな要素は、私たちにとって自然なもの。あるいは、必要なもの、とも言えるかもしれません。ときにそれは道徳的な教訓になったり、人生の指針になったりしてくれます。ゴスペルは、一人一人が自分のために持てるスピリチュアル・ソング。その中には「祈り」があり、「賛美」があり、「感謝」があり、「愛」があります。ゴスペルを歌う時間は多くの人にとって、ただ声を出して楽しいだけでなく、心にスピリチュアルなものを感じさせてくれる魅力もあるのです。

聴いてみよう!本場のゴスペル

ゴスペルのCDやDVDは近所のCDショップでは見つかりにくいかもしれませんが、Amazonなどでたくさん扱っているほか、YouTubeでも映像をたくさん観ることができます。

入門編としては、Hip Hopなど常に最新の音楽スタイルを取り入れて若者に絶大な人気のKirk Franklin(カーク・フランクリン)、歌いやすい楽曲が多く日本のゴスペルグループにも好んで歌われているHezekiah Walker(ヘゼカイヤ・ウォーカー)Joe Pace(ジョー・ペース)Israel Houghton(イスラエル・ホートン)などがオススメ♪(これらは全て、この名前の人が率いる、大勢で歌うスタイルのゴスペルグループ。)

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